※本ページにはプロモーションが含まれています。

治済ついに失脚す!

べらぼう第46話あらすじ~蔦重栄華乃夢噺~

饅頭こわい

曽我祭の朝、町に響く太鼓の音より早く、衝撃のニュースが飛び込んでまいりました。

大崎(演:映美くらら)が無惨にも遺体で発見され、さらに松平定信(演:井上祐貴)が待機していた浄瑠璃小屋では、毒饅頭でバタバタと人が倒れる大惨事。

しかも毒饅頭は“関係者にだけ配布”。これ、どう考えても仇討ち計画が一橋治済(演:生田斗真)にバレバレ案件じゃないですか。

そこで定信、なんと治済そっくりの阿波・蜂須賀家の斎藤十郎兵衛(演:生田斗真・二役)を替え玉にするという離れ業を思いつくんです。え、似すぎて草。まさかのそっくりさん作戦に、こちらも思わず「定信、天才かよ!」と。

一方そのころ、蔦屋重三郎(演:横浜流星)は自分にも累が及ぶと察して、店を一旦閉める宣言。すると奉公人たちが「え〜!?」と大ブーイング。それでも蔦重は必死。

しかしそこへ、毒饅頭を食べて生還したみの吉(演:中川翼)が、まさかの“毒饅頭ブーメラン説”を言い出すんです。
仕込んだやつが、うっかりパクッと食ってポックリって、面白かねぇですかね
いやブラックすぎて震えた。でも言いたいことはわかる!そして、蔦重決心します。

その頃、江戸城では一橋治済から口撃(こうげき)を受け、定信はイラ立ちMAX。そこへ蔦重がのっそり登場して、さらっとすごい案を出します。
毒饅頭の仇は毒饅頭で取る。傀儡好きの治済に食わせりゃいいじゃねえですか
ちょ、発想のキレ味よ。SNSだったら“蔦重、神かよ!”タグが乱舞してる。

しかもこの作戦、将軍・徳川家斉(演:城桧吏)を巻き込む超大仕掛け。
「上様が泰平を乱す輩を黙って見ててどうするんで?」

さらに核心が明らかになるのが、かつて家斉の乳母だった大崎が残した女文字の遺書
「全てはお父上様のお指図にございました」
その言葉に家斉は戦慄。幼い日の記憶――徳川家治(演:眞島秀和)が走馬灯のように蘇り、
「悪いのは父だ、そなたの父だ!」
と絶叫したあの最期が胸を突き刺す。思わずこちらまで涙腺崩壊。切なすぎて泣いた……。

ついに舞台は清水重好(演:落合モトキ)邸の離れの茶室へ。

家斉と治済が静かに向かい合います。茶菓子に手をつけぬ治済の隣で、息子がパクパクとおいしそうに食べ、茶をすすり、用心深い治済に手渡します。治済がようやく安心し、茶を飲むとその瞬間――息子がバタリ。
えっ、まさか共倒れ!?」と治済が蒼ざめる中、今度は治済自身の視界がスーッと暗転します。

実は、彼に仕込まれていたのは、“眠る毒”。まさか上様まで殺す訳にはいきません。毒を食らわば眠りまで……ってやつですね。治済は捕らえられ、用意されていた替え玉・斎藤十郎兵衛と入れ替えられるというミラクル展開。

いやもう、入れ替わり劇が巧妙すぎて草。

治済は定信と長谷川平蔵(演:中村隼人)の手で密かに阿波の孤島へ島流し。定信、ここにきて静かに復讐を遂げるんです。世の中は知らぬまま、陰で歴史が動いていく感じ……震えた。

その後、蔦屋耕書堂は無事再開。定信が店を訪れ、春町の件を悔いながら「千両の代わりに面白い黄表紙を送ってくれ」と蔦重に託して国元へ帰っていく。

別れ際のこの言葉、静かな余韻が胸を刺し、もう情緒が止まりません……

――――そして物語は一旦幕を閉じますが、
果たして、この先の“歴史の裏側”には何が潜んでいるのか?

次回で『べらぼう』最終回……お楽しみに!


時代を超えて江戸を伝える語り部
時代屋こはる
江戸の粋と人情に恋した「時代屋こはる」。ドラマの情景を鮮やかに描き、笑いと涙を織り交ぜながら、今に蘇る歴史の物語を語り継ぐ。時にツッコミ、時に胸アツな筆さばきが自慢。歴史好きの皆さまに「そう来たか!」と言わせる快作に挑戦中。

こはるの感想
現代では、写楽の正体は斎藤十郎兵衛とされています。彼は、江戸時代に阿波徳島藩に仕えていた能役者(能楽師)であったと考えられています。
その斎藤十郎兵衛を替え玉にするという『べらぼう』の脚本家・森下佳子。今までもそうですが、その発想の自由さ、いや奔放さには、こはる恐れ入りました。

べらぼう[用語解説]

饅頭こわいの謂れ

「饅頭こわい」は、落語に登場する有名な“こわいこわい詐欺”のようなお話です。

実は「饅頭が大好きなのに、こわいと嘘をついて山ほど食べる」というオチがつきます。この演目が広まったことで、「本当は好きなのに、こわいふりをする」「嫌いなふりして得をする」という意味でも使われるようになりました。

この噺にはいくつかの逸話があり、よく語られるのは次の二つです。
(1)江戸の若者が友人を脅かすために流した噂が元になったという説
本当は饅頭を好きなくせに、「あれだけはこわい」と言い張っていた若者が、仲間に山ほど饅頭を差し入れられ、うれしそうに全部食べた——という戯れ話が原型だといわれます。
(2)“こわい=ほしい”という江戸の言葉遊びから生まれた説
江戸言葉には、あえて真逆を言って笑いを取る文化がありました。「こわいこりゃたまらん好きで好きで仕方ない」という洒落が発展し、演目として定着したとも伝えられます。

 徳川家斉と乳母・大崎

徳川家斉は、十一代将軍として長く江戸幕府を支えた人物です。幼い頃、彼の成長をそばで支えたのが乳母の大崎です。大崎は若き家斉に深く寄り添い、心の支えとなった存在で、信頼もとても厚かったと伝えられています。

ドラマの中でも、大崎は家斉の“誰にも言えない痛み”や“幼い日の記憶”を知る唯一の人物として描かれます。とくに家斉の父・徳川家治が亡くなる際に残した言葉が家斉の心に影を落とし、その真相を示す手がかりを大崎が遺したことで、物語が大きく動きました。
家斉にとって大崎は、単なる乳母ではなく「心のよりどころ」ともいえる存在だったのです。

斎藤十郎兵衛(さいとう じゅうろべえ)

斎藤十郎兵衛は、阿波・蜂須賀家に仕えた武士で、一橋治済に顔立ちがそっくりだったとされる人物です。ドラマでは、この“瓜二つ”の特徴を生かし、松平定信が治済の替え玉として利用しようとする重要人物として登場します。

彼自身は政治の渦中にいたわけではありませんが、「替え玉として利用されるほど治済に似ていた」という一点だけでストーリー全体に深く関わる、非常に印象的な役割を担っています。

江戸時代の大名家では、こうした“そっくりな人物”が護衛や影武者に使われる例もあったといわれ、十郎兵衛もその延長線上で描かれています。

実は、現代では「斎藤十郎兵衛=東洲斎写楽の正体ではないか」と語られることもあります。

写楽の正体の候補のひとりに、阿波藩ゆかりの人物である十郎兵衛が挙げられることがあります。写楽の作品の中に阿波藩とのつながりを思わせる要素があることや、十郎兵衛の経歴に不明点が多いことが、その理由です。

もちろん確定した説ではありませんが、「武士が別名で絵師として活躍していたのでは?」というロマンあふれる仮説として、いまも多くの人を惹きつけています。