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月岡雪鼎「四季画巻」の一部

『春画から考える令和時代の性教育』

(取材・文/小高麻衣子より抜粋)
https://www.excite.co.jp/news/article/Harbor_business_196246/

◆男女の性愛を大胆に描いた春画
それは時には「枕絵」「わらい絵」と呼ばれ、身分、男女問わず広く嗜まれてきた。春画の中には男女の性行為だけでなく、ユーモラスで、また時に社会風刺的な描写もあり、見る人の心を引きつける要素が満載である。
日本という国の誕生も男女(イザナミ・イザナギ)の結びつきから、という神話もある事をここで念頭に入れておきたい
◆好評を博した大英博物館での春画展開催
2013年にはロンドンの大英博物館で世界初の大規模春画展が開催され、春画そのものの学術的、文化的価値の高さは認められている、と言うことができるだろう。
しかし、ここで持ち上がったのは、春画は芸術なのかポルノなのかという議論であり、要するに何を持って芸術とポルノ(見る人の好色的快楽を示唆するもの)を分けるのか、という議論だ。
春画展はイギリス大手新聞社から4つ星評価(5段階評価だが5つ星評価は稀なので事実上の最高評価)を受け、会場には目標来場数4万人を遥かに上回る8万8000人が来場し、大英博物館の年間来場数では新記録を更新したほどだ。
◆現代の日本よりも性におおらかだった江戸時代
愛し合う男女がお互いを抱擁し、とても幸せそうな笑みを浮かべて行為に及んでいる。ここには西洋哲学的な、タブーと結びつくエロティシズムは存在しない。
イギリスの女性ジャーナリストの多くは、いわゆる西洋のポルノグラフィ的な女性の客体化ではない、男女の和やかな性行為が描かれているという点で春画を絶賛していた。
◆性をタブーとして扱う近代日本
では、2013年のイギリスでの春画展に対する日本の反応はどうか。
その中で春画は忘れ去られ、皮肉なことに現代日本では自国の文化を受け入れる受け皿がなくなっていたのだ。
老若男女楽しめるはずの春画がこのように未だこのようにデリケートな扱いを受けることは、まさに現代日本の性に対する価値観を反映している。