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菱川師宣・見返り美人図

「四十八手」の由来

「四十八手」とは、もともと相撲の決め手のことを指し、室町時代から使われていました。
春画での「四十八手」は、見返り美人図の絵師・菱川 師宣が1679年出版した「表四十八手 恋のむつごと四十八手」が初めです。これは交合の体位のみを描いたものではありません。接吻や口説き、交合後の余韻などのシチュエーションも少しですがあります。
また、「表四十八手」とありましから、「裏四十八手」もあり、菱川 師宣は全部で「九十六手」描きあらわしました。その後、いろいろな絵師がそれを真似て、いわゆる春画の「四十八手」になったのです。

表四十八手 恋のむつごと四十八手

いくつか面白いと思ったものをあげておきます。
【第4図】ぬれなづけ
裕福な男が遊女の手を握って言い寄る図。「いいなづけ」にかけた「ぬれなづけ」です。いたした後、照れて顔を見ることもできないといった図です。
【第7図】花月擬(くわげつのなぞらへ)
男が尻を突き出した若衆と股を広げた女を同時に相手にしようとしている図。花は女性、月は菊座で男性。江戸時代では、成人する前の若い男、若衆を相手にするのは普通のことだったそうです。また、その若衆はモテモテで、奥さんもこっそりいたすのだそうです。若衆の値段は、遊女より高かったとか。
【第9図】君膝枕
遊女の膝枕でのどかに眠る客の図。江戸時代、遊女の膝枕は、買ってもしなさいと言われていたとか、のどかです。
【第10図】曲茶臼
キセルを持って寝そべる客に、三味線を引く女が上に乗っている図。三味線の音が乱れるのは、はてはて何が原因でしょうか? 女はつらいよ。茶臼とは、騎乗位。
【第21図】両足じめ
正常位で交わる女が両足を上げ、男を両足で挟んでいる図。これぞ、逝かせたい男の本懐。女が逝ったときは、このようになろうと。
【第40図】似せ男
男が張形(ディドロ)を男根につけ、女としている図。男が使う場合は、勃たなくなったときに使う、女をヨガらせる、女二人を相手にするなどの場合でしょうか。「男に似せる」ということは、大奥の奥女中などが自慰のため、レズのために使います。
ト一ハ一(といちはいち)」という言葉をご存知でしょうか。
女性の同性愛のことです。「トー(といち)」の方は「上」という字を分解したもので、「上玉」つまり美人や上級の芸者さん。「ハー(はいち)」の方は「下」という字の草書体をバラしたものですが、「下玉」(この言葉はありません)という意味ではないようです。
【第41図】手懸(てかげ)
吊るした縄を持つ女のバックから、切り株に座った男が突き入れている図。何かに手をかけて体を支えて行う体位全般を「手懸(てかげ)」と言います。屋外でいたす立ちながらの青姦での体位が多いでしょうか。屋内では、柱や机などでしょう。
【第42図】壁立合(かべたちあい)
壁ドンならず、壁立合。壁に女の背中を押し付け、立位で交わる図。師宣がこう名付けるまでは「もたれかけ」と言われていたそうです。
(また、追記します)
菱川 師宣(ひしかわもろのぶ)
元和4年(1618年)から元禄7年(1694年)。生年は寛永7-8年(1630年-1631年)ともいわれる。江戸初期に活動した浮世絵師の一人。浮世絵を確立した人物であり、すなわち最初の浮世絵師です。