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この記事では、「富嶽三十六景」がなぜ46点で構成されているのか、その理由を詳しく調べてみました。

葛飾北斎の代表作である「富嶽三十六景」は、そのタイトルから、36点で構成されていると誤解されがちです。

しかし、実際には全46点の作品が存在するという興味深い事実があります。

『正本製』の広告には「三十六に限るにあらず」と明記されており、北斎の意図やその背景を考察する手がかりとなっています。

北斎「富嶽三十六景」が全46点ある理由?

「富嶽三十六景」は、葛飾北斎が描いた富士山を題材とした版画集として知られています。

しかし、そのタイトルとは裏腹に、この作品集は全46点で構成されています。

その理由は、1831年の柳亭種彦による『正本製(しょうほんじたて)』の巻末広告に示されています。広告には、

「富岳三十六景/前北斎為一翁画/藍摺一枚/一枚ニ一景ツゝ/追々出版(略)此のごとく追々彫刻すれば猶百にもあまるべし/三十六に限るにあらず」

と記されており、最初の36点が好評だったために、追加で10点が制作されたことが分かります。

この追加の10点には、北斎の独創的な視点や技法が反映され、さらなる評価を得ることに成功しています。

『正本製』によれば、この版行は1831年から1834年までの間に行われ、『富嶽百景』の出版が始まるまでの期間だったと考えられています。

このエピソードは、北斎の作品が当時どれほどの人気を誇っていたかを物語っているのです。

北斎「富嶽三十六景」の5つの魅力

北斎の「富嶽三十六景」は、その多様性と芸術性から多くの人々に愛されています。以下に、その5つの魅力を挙げて説明します。

  1. 多様な視点からの富士山描写
    各作品は異なる場所や角度から富士山を捉えており、日常の風景に溶け込む富士山のさまざまな姿を堪能できます。これにより、観る人は様々な視点から富士山を楽しむことができます。
  2. 独自の色彩とデザイン
    北斎は藍色を効果的に使用し、「青富士」や「赤富士」として知られる代表作を生み出しました。その独自の色彩感覚は、視覚的に非常に印象的です。
  3. 動と静の巧みな表現
    各作品には、人々の生活の息吹や風景の静寂が絶妙に組み合わされており、動的な要素と静的な要素のバランスがとれた表現が楽しめます。
  4. 細部にわたる観察力
    北斎の絵には、一つひとつの情景が精緻に描かれており、建物や船、人々の表情など細部にまで配慮されています。これにより、絵を見る楽しみが倍増します。
  5. 歴史的背景と物語性
    作品は江戸時代の生活や文化を垣間見ることができるとともに、各風景に背景やエピソードが感じられ、物語性のある作品としても楽しむことができます。

江戸日本橋

江都駿河町三井見世略図

東都駿台

東都浅草本願寺

深川万年橋下

五百らかん寺さざゐどう

青山円座松

隠田の水車

下目黒

礫川雪の旦

御厩川岸より両国橋夕陽見

隅田川関屋の里

武州千住

武陽佃島

上総の海路

登戸浦

常州牛掘

神奈川沖浪裏

武州玉川

東海道保土ケ谷

相州七里浜

相州江の島

相州梅沢左

相州箱根湖水

甲州三島越

山下白雨

凱風快晴

駿州江尻

東海道江尻田子の浦略図

遠江山中

東海道吉田

尾州不二見原

甲州犬目峠

甲州三坂水面

信州諏訪湖

甲州石班沢

北斎「富嶽三十六景」追加10点

北斎の「富嶽三十六景」に追加された10点には、北斎の独創的な視点や技法が反映されており、さらに高い評価を得ることに成功しました。

もし最初の「富嶽三十六景」が不評だった場合、この追加の10点は描かれなかったでしょう。

本所立川 追加版 (裏富士)

従千住花街眺望の不二 追加版 (裏富士)

東海道品川御殿山の不二 追加版 (裏富士)

相州仲原 追加版 (裏富士)

駿州片倉茶園の不二 追加版 (裏富士)

駿州大野新田 追加版 (裏富士)

諸人登山 追加版 (裏富士)

東海道金谷の不二 追加版 (裏富士)

甲州伊沢暁 追加版 (裏富士)

身延川裏不二 追加版 (裏富士)

北斎 富嶽三十六景が全46点ある理由[まとめ]

「富嶽三十六景」の全46点は、販売の成功により追加された10点を含む、46の異なる風景を描いた作品集です。

この名称に反して、作品数が増加したのは、その人気が高まった結果であり、北斎の想像力が広がりを見せた証拠でもあります。

これにより、「富嶽三十六景」は、彼の芸術的成就と浮世絵としての地位を不動のものとし、多くの人々にとっての名作として評価されています。

北斎の作品は、ただの風景画ではなく、物語性や感情を含む芸術的な試みが常に詰まっており、その魅力は時代を超えて受け継がれていくことでしょう。