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東洲斎写楽・役者絵三世大谷鬼次の奴江戸兵衛(左)
二世小佐川常世の竹村定之進妻桜木(右)

東洲斎写楽は、18世紀末に活躍した江戸時代の浮世絵師であり、彼が描いた大首絵はその独自性と迫力で高く評価されています。

寛政6年(1794年)に発表されたこれらの大首絵は、歌舞伎役者や相撲力士をリアルかつ劇的に描き出した全28点から成ります。

写楽の作品は、表情の劇的な描写や大胆なデフォルメ、シンプルな背景、豊かな色彩、斬新な構図など、特徴的な要素で満ちています。

本記事では、東洲斎写楽の大首絵に見られる5つの特徴について詳しく解説し、その魅力を改めて掘り下げていきます。

東洲斎写楽の大首絵[全28点]その5つの特徴

東洲斎写楽の〈大首絵〉は、寛政6年(1794年)5月に刊行された雲母摺、大判28枚で、彼の代表的な作品の一つであり、歌舞伎役者や相撲力士を描いた浮世絵です。

その5つの特徴をわかりやすく解説します。

なお、〈大首絵〉とは、役者のバストアップを描いた浮世絵です。

  1. リアルで劇的な表情
    写楽の大首絵は、登場人物の表情や感情を非常にリアルかつ劇的に捉えています。特に、目の表現や口元の緊張感など、細部にわたる描写が強調されています。
  2. 大胆なデフォルメ
    写楽は、描く対象を大胆にデフォルメしており、特に顔のパーツを誇張することで、人物の個性や内面を強調しています。これにより、見る人に強い印象を与えるスタイルが確立されました。
  3. シンプルな背景
    作品の背景は非常にシンプルで、主役である人物を際立たせる効果を持っています。この手法により、観客の視線は自然と人物の表情やポーズに集中します。
  4. 豊かな色彩
    写楽の作品は、深い黒、鮮やかな赤や黄など、豊かな色彩が特徴的です。これにより、画面全体に強い視覚的インパクトを与えています。
  5. 焦点と構図
    大首絵では、顔や頭部が画面の中心に大きく描かれており、余白を生かした斬新な構図が印象的です。この構図が、写楽の人物画をさらに特異なものにしています。

東洲斎写楽の大首絵はこの5つの特徴により、当時の浮世絵とは一線を画す独自性を持ち、現代でも多くの人々に愛されています。

東洲斎写楽の大首絵[全28点]を堪能する!

東洲斎写楽の大首絵の代表作には、「市川蝦蔵の竹村定之進」、「三代坂田半五郎の藤川水右衛門」、「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」、「嵐龍蔵の金貸石部金吉」などがあります。

この時期の落款は、すべて「東洲斎写楽画」です。

市川鰕蔵の竹村定之進

三世坂田半五郎の藤川水右衛門

三世大谷鬼次の奴江戸兵衛

二世嵐竜蔵の金貸石部金吉

三世佐野川市松の祇園町の白人おなよ

三世坂東彦三郎の鷺坂左内

三世沢村宗十郎の大岸蔵人

三世市川八百蔵の田辺文蔵

三世市川高麗蔵の志賀大七

三世瀬川菊之丞の仲屋おは

三世瀬川菊之丞の田辺文蔵妻おしず

中山富三郎のおひさ

中山富三郎の宮城野

二世中村仲蔵の百姓つち蔵、実は惟高親王

二世坂東三津五朗の石井源蔵

二世小佐川常世の竹村定之進妻桜木

二世山下金作の仲屋おかね実は貞任妻岩手御前

二世嵐竜蔵の奴なみ平

二世市川門之助の伊達の与作

八世森田勘弥の駕籠舁鶯の次郎作

二世瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木

四世岩井半四郎の乳人重の井

四世松本幸四郎の山谷の肴屋五郎兵衛

大谷徳治の奴袖助

初代尾上松助の松下造酒之進

市川男女蔵の奴一平

松本米三郎のけはい坂の少将、実はしのぶ

谷村虎蔵の鷲塚八平次

東洲斎写楽の役者絵[36点]を堪能する!

中島和田右衛門のぼうだら長左衛門と中村此蔵の船宿かな川やの権

二世沢村淀五郎の川連法眼と坂東善次の鬼佐渡坊

二世瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木と中村万世の腰元若草

三世佐野川市松の祇園町の白人おなよと市川富右衛門の蟹坂藤馬

三世大谷広次の奴土佐の又平

三世佐野川市松のいほはた

三世市川高麗蔵の弥陀次郎実は相模次郎

三世市川高麗蔵 篠塚五郎(貞綱)

三世沢村宗十郎の名護屋山三

三世沢村宗十郎の大友黒主

三世沢村宗十郎の孔雀三郎

三世沢村宗十郎の薩摩源五兵衛

三世瀬川富三郎の傾城遠山と市川栗蔵の東山義若丸

三世瀬川菊之丞の傾城かつらぎ

中山富三郎の切禿

中山富三郎の義興後台つくば御前

中山富三郎の牛飼お筆

中島勘蔵の馬子寝言の長蔵

中島和田右衛門の家主身替わりの地蔵

二世中村仲蔵の荒巻耳四郎

二世中村粂太郎の兵庫之介女房みなと

二世坂東三津五郎の桂小金吾

二世坂東三津五郎の百姓深草の治朗作

二世小佐川常世の 女髪結いお六

二世山下金作の貞任妻岩手

二世嵐竜蔵の大友山主

二世瀬川富三郎の大友家腰元若草、実は惟高親王

四世岩井半四郎の巡礼おとま

市川富右衛門の猪の熊門兵衛

大谷徳治の物草太郎

初代尾上松助の孫六入道

六世市川団十郎のみまな行教

六世市川団十郎の曽我の五郎時宗

市川鰕蔵の工藤左衛門祐経

市川鰕蔵の廻国修業者良山、実は安部貞任

初代尾上松助 足利尊氏

東洲斎写楽の大首絵28点ほか全64点[まとめ]

東洲斎写楽の大首絵は、当時の流行にとどまらず、現在でも多くの人々に感銘を与え続ける名作揃いです。

この作品群を通じて、写楽の芸術的な手法やその深い洞察力が光る5つの特徴を見出すことができます。

リアルな表情から伝わる役者の迫力、大胆なデフォルメに見る独自性、背景のシンプルさによる焦点の絞り方、そして色彩と構図の巧みな使い分けが、一つ一つの作品に鮮明な印象を残します。

これらの特徴が、日本の浮世絵における写楽の偉大さを今に伝えています。